|
|
|
水辺のゆりかご (角川文庫) 価格: 540円 レビュー評価:4.5 レビュー数:8 巻頭に家族親族や著者の幼少期からの写真が添えられていて、一見いかにも事実を綴った自伝風。
だが、「生後六ヵ月になっても頭髪が一本も生えなかった」と記されたわずか十数ページ前に
(生後五ヵ月頃の美里)のキャプションのある赤ん坊の写真。
その子はむしろ普通より髪が濃く、そのためにふさふさと立っているので、首を捻った。
ご丁寧にさらに数ページ先でも「二歳をすぎても私の頭には猿のような産毛が生えているだけ」と書いてある。
この冒頭の記述と写真のギャップで、この作品のスタンスの曖昧さを見てしまった。
実際の写真を添えるなら、自伝と |
魂 (新潮文庫) 価格: 580円 レビュー評価:4.0 レビュー数:7 この本は、面白いか面白くないかではとらえられない。
子を持つ母として、共感できる部分もあるにはあるが、共感できない部分が多すぎる。
何がどう、というのではなく、「柳美里」という人がこういう人なんだ、とそれだけがしんしんと降り積もるように伝わってくる。そして、それが自分の周りに降り積もってべっとりと貼りついて離せなくなるように本に引き込まれる。身近にいたら、逃げ出したくなるような人である。一つ一つがどうこうというのではなく、きっと彼女にはこうするしかできなかったんだろう、と思う。そして、大多数の人が決して選ばなかったであろう道をきっと、彼女はそうすることしかできずに選ぶ |
|
|
|
|
交換日記 価格: 1,575円 レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 崩壊した家族の人間模様を描いた芥川賞受賞作『家族シネマ』や、少年の犯罪を題材とした『ゴールドラッシュ』などの著者である柳美里が、作家として母としての日常を日記形式でつづる。「新潮45」に連載されたもののうち、2002年から2003年半ばまでの分を収録。パートナーであった東由多加の死と、新しい生命の成長を真っ向から描いた『命』『魂』『生』『声』の4部作ともつながる柳の私生活が、今は亡き「あなた」へ向けて語られている。 自著『石に泳ぐ魚』の出版止し止め裁判と、それにまつわる世間からの重圧。そして父親のいない母子家庭であるがゆえの、「書けなくなったら、来月から食べていけなくなる」と |
|
|